8月に読んだ本

名久井直子さんの装丁であるというきっかけから購入してみた
「ミービフォアユー きみと選んだ明日」。
分厚い文庫で読みきれるかなぁと思ったのもつかの間、
登場人物たちに愛着が出てからは一気に読みきりました。

イギリスを舞台としたラブストーリーですが、恋愛部分はは控えめ。
尊厳死というモチーフが出てくることにより
生きることや死ぬことについてのテーマを投げかけるものになっています。
重い主題ですが、ウィットに富んだ会話や主人公目線の語りで
全体のトーンはシリアスではなく、楽しく読み進めることができます。

地元の田舎町から出たことない主人公の女の子、ルーが
世界を飛び回っていた男性のウィルからパリの良さを聞き、
「カフェでクロワッサンに無塩バターと苺ジャムをつけて食べるんだ」と
教えてもらうシーンがあるのですが、
食いしん坊な私はその一文があまりに美味しそうで印象に残っています。

ルーが物語の終盤、実際にパリのカフェでお茶をするのですが
聞いた話のパリの方がきらきらと描写されていた気がしました。
人から聞いた話の中に出てくる行ったところのない国って
楽園のように頭の中で想像してしまったりもするなぁなんて思いました。

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